伊坂幸太郎さんの「ポテチ」は『フィッシュストーリー』所収の短編小説。家族の関わり合いを十分に表現した超感動作です。物語の序盤ではユーモアを交えつつライトな感じに仕上がっていますが、徐々にシリアスになってくる流れが絶妙です。

◆ポテチのあらすじについて

「ポテチ」の主人公は病院のミスで親と子が入れ違いになってしまいます。そして育ての親の本当の子供はプロ野球選手になります。自分はそこまで立派な人間ではないのでそのことに対し不憫に思ってしまいます。

一時は感情を爆発させ取り乱してしまうのですが、主人公は入れ替えられた(言わば自分の生みの親に育てられた男)のファンで熱心に応援します。
そして最後には母に(自分を育ててくれた母親)に実の息子の勇姿を見せようと野球場に連れて行きます。

母のための行動ですが、自分とその野球選手を重ねて自分のしがらみを払拭させようとするストーリーが超感動ものです。

◆実の親と育ての親について

伊坂幸太郎さんの「ポテチ」を読んだら、「親子とはなんなのか?」と言うことを考えさせられます。

親子

ここでは主人公を産んだ親については語られませんが、もし子供が入れ替わることがなかったら、自分が違う親に育てられていたとしたらと色々考えてしまいます。

この作品は主人公が子供(子供と言っても成人しているのですが)にもかかわらず親を気遣っている場面が多かったりと、親目線で考えさせられます。
そのためもし優秀な人物が本当は自分が産んだのだと知った時にどう思うのかと言う視点に立たされてしまうことでしょう。

その上で育ての親が自分の親であるべきと思いたいですが、生みの親の重要性にも気づかされて私は自分の子に対して、

「本当の子供は違っていました」

と言われたら、

「その子はどういう生活を送っているのだろう、一目会いたい」

と思わずにはいられなくなると思いました。

◆ ポテチの話の進め方について

「ポテチ」の前半はライトな感じでポンポン読み進めることができます。伊坂幸太郎さん特有の表現でその面白さに手が止まらなくなることでしょう。

しかし徐々に風向きが変わり何やらシリアスな展開になってきたと感じるはずです。ここで物語の前半の軽さが役立ちます。
物語前半で人物像が見えてくるのでこれはこういう人だと言うことが形成されます。
そのため後半シリアスになったとしても、話の内容が出来上がっているから読み進めるのが難しく感じることはありません。

私は伊坂幸太郎さんの短編小説ならこの「ポテチ」が一番好きです。読書は苦手だけどちょっと長めの小説を読んでみたい!という人におすすめしています。

この作品を読んだら小説って読みやすいなとか、頭の中で映像化するのってそんなに難しくないなと感じ、読書にはまるなんてことがあるかもしれませんよ!
そんな読書の楽しみを教えてくれる作品です。浜田岳さん主演で映画化もされているので、見比べてみるのもおすすめです。

ポテチ

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