今回おすすめする短編小説は、村上春樹さんの『カンガルー日和』に収録されている「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」というタイトルが長過ぎる作品です。
◆村上春樹さんの短編小説について
村上春樹さんと言えば毎年ノーベル賞候補に挙げられていて海外でも超人気の作家です。代表作と言えば『ノルウェイの森』であったり、『海辺のカフカ』であったり長編小説に着目されがちですが、短編小説もかなり面白い作家です。
今回紹介するのは『カンガルー日和』に収録されている「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」というタイトルが長過ぎる短編小説です。
私は読書好きなのですが、恐らくこの作品を読んでから本格的に読書に目覚めたと思います(それまでちらほら読んでいましたが貪るように読むようになったのはこの作品からです)。
◆なんだこのタイトルは(笑)。
まず気に入ったのがこのタイトル。「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」なんて長過ぎて普通タイトルにしようとは思いませんよね(笑)。
私は『カンガルー日和』の目次で「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」というタイトルを見て、
「なにやら胡散臭そうな話だ」
と思ってあまり期待しないで読んだのですが、あまりの面白さに衝撃を受けてしまいました。
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短い小説だったため、いつで
も読みたいと思いパソコンにタイピングしました(今ならスキャンとかするのでしょうが、当時私はスキャンを持っていなかったのでタイピングをしました)。それくらい個人的にはまってしまった作品です。
ちなみに村上春樹さんの小説を英語で学ぶというNHKのラジオ講座(「英語で読む村上春樹」)があるのですが、2016年の4月の回はこの「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」が題材となっていました。英語好きの方はそちらもチェックしてみるといいかもしれません。
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◆完璧な内容が短い中に凝縮されている
街で自分の理想的な異性とすれ違う。そんな時みなさんならどうするでしょう。ほとんどの方が声をかけられないのではないでしょうか。
この「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」の主人公も声をかけることは出来ませんでした。しかし、後になってどうするのが一番正しかったのかと言う考察で出来ている話です。
しかもその考察が完璧で「なるほど」と言うほか見当たりません。それでいてダラダラと書かれていなく「必要最低限」を「十分な展開」で満たしているため、過不足なくまさに100点と言った小説です。
私はあまりにも好きすぎてかなり短い文章なので丸暗記しようと思ったくらいです(当時全部はできませんでしたがほとんどできていました)。
◆こんな風に声をかけられたらと思ってしまう
上記にも触れましたが、理想の女性とすれ違った主人公は結局声をかけられませんでした。私は理想というわけではありませんが、
「ちょっといいな」
と思った女性とすれ違うたびにこの話を思い出してしまうのですが、一度使ってみたい手法ではあります。
もし自分がそういう状況にあったとしても後悔するだけではなく、考察をして、
「こうするのがベストだった」
という解決策を出せたとしたら面白いのではないでしょうか。(それができるできないは別として)軟派をしろとは言いませんが、軟派の準備ができるかもしれませんよ。