今回ご紹介する「生活維持省」は星新一さんの名作中の名作『ボッコちゃん』に収録されている短編小説です。
人口が増えすぎないように考えられた人口抑制システムを生活維持省の人間が全うしていくという、星新一さんならではのお話です。こんなありえない世界をライトに楽しめるのは星新一さんの作品だけではないでしょうか。

ボッコちゃん

(https://www.amazon.co.jp/)

◆人口抑制するために

星新一さんはショートショートの神様と呼ばれ超短編作品においては絶対的な能力を誇っています。
作風はブラックジョークを用いる事が多く、深刻な問題でもあまり人間の深い感情の部分には入り込まず淡々と事実を述べたり、業務を遂行させたりと、読むものに不快感を与えない作家です。

この「生活維持省」も同様に、人口を抑制するために生活維持省で働く役人がランダムに抽出された人間を殺していくという内容です。

殺し方もチャチャッと済ませてそこに殺さなければいけない不快感などは表さず、

「やだなぁ」

くらいの軽いノリで殺して、

「人口が増加しすぎると大変だからね」

というスタンスで話が展開されます。

人口抑制をする代わりに人間にはそれ相応の土地と経済が与えられるわけですが、選ばれた人間になったらたまったもんではありません。
被害者数は最小限に抑えるが被害者になったら有無を言わさず殺されてしまう・・・こんなありえない世界をライトに楽しめるのは星新一さんの作品だけではないでしょうか。

◆立ち読みできる短さ

「生活維持省」は星新一さんの名作中の名作『ボッコちゃん』に収録されているわけですが、『ボッコちゃん』の中ではそこまで注目を浴びなかった作品なのではないかと思います。かなり短い作品なのではっきり言って書店で立ち読みできるくらいです。

ボッコちゃんはよく「夏休みに読みたい100選」的なものに選ばれるので本自体を探すのも簡単です。
店頭に並んでいるケースが多く、そこで読むと店員にマークされてしまう可能性があるので、もし読むとしたら邪魔のならないようなところで読むのがいいと思います。

本屋

その他、図書館で借りるのもありです。『ボッコちゃん』は知名度も高いため大体どの図書館でも備えているし、古い本なので貸し出されていて競合者が多いということもないのですぐ借りられるでしょう。

『ボッコちゃん』の中には名作が多数入っているの上、短い話が多く面白くても話の内容を忘れてしまうで、やはり買うことをおすすめしますが(笑)。

◆実は「盗作じゃないか」と言われている漫画がある

「イキガミ」という漫画をご存知でしょうか。実はこの作品「生活維持省」の盗作なのではないかと騒がれたことがありました。

私はどちらも読んだのですが、恐らく盗作ではないのではないかと言うのが私の意見です。

いずれも人口増加を抑制するためにランダムに人が処分されていくと言うストーリーなのですが「生活維持省」は被害者目線はほとんど書かれていない上に心情に対しては
どうでもいいという感じなのに対し、「イキガミ」は被害者目線での心情を重要視しているからです。

十人が読んだら恐らく何人かは盗作ではないかと疑ってしまうかもしれませんが、十人いたら十人が「生活維持省」の方がライトだという印象があるでしょう。深く考えさせられるというよりも、

「ふむふむ、なるほど」

と思わせてくれるスッキリさが「生活維持省」の売りだといえるのではないでしょうか。簡単に読むことができるので、子供にもおすすめしたい名短編です。